iPhone 3G。

iPhone 3G

発売直後のお祭り騒ぎも一段落といったところで、そろそろ普通に買えるようになってきた感がある。現在、SoftBankショップでは毎週金曜日にある程度まとまった数が入荷してきている模様。

購入したのは16GBの黒。2週間ほど使ってみたがなかなか快適。もちろん巷で言われてるようにパフォーマンスや安定性の面で改善の余地は大いにあるが、これらはそう遠くないうちにソフトウェア・アップデートで解決されるだろうと思われる。

正直、今使っているケータイをiPhoneに置き換えてしまうのは辛い。が、それは、単に番号とメールアドレスが変わったことを周知するのが面倒なのと、電話帳の整理が面倒なだけで、iPhoneがケータイとして劣っているとかそういうわけではない。
まあ強いて言えば通勤用の定期を含むモバイルSuicaを手放したくないとか細々としたことはあるにはあるが、それは些細なこと。そんなわけでドコモは例の月額980円のプランにしてしまった。

いいな、って思ったのは、まずSafariによるWebブラウジング。決して広いとはいえないスクリーンでよくぞここまで作り込んだなぁという印象。レンダリングのクオリティも高いし操作性もよい。事実上使い物にならない他のケータイのフルブラウザとは雲泥の差である。
なお、Yahoo! JAPANをはじめとして「iPhone対応サイト」を謳うところが増えつつあるが、このあたりについては少し思うところがあるのでまたの機会に。

i日本語入力タッチスクリーンを活用した新しい日本語入力はよく錬られており合理的だ。3日も使えば慣れてしまい、これまでの「キー連打」がいかに非効率であったか思い知らされた。ケータイに限らず、これから登場するであろうタッチパネルを用いた製品の日本語入力システムの方向性を決めてしまったといっても過言ではない。もちろん他のケータイっぽく「キー連打」でも入力できるが、物理的に「押している」感触のないタッチスクリーンではやや厳しい。
日本語変換の精度はやや軽視されているように感じた。あと予測変換の「もたつき」はちょっと致命的な場面すらある。これも今後に期待。

バッテリの持ちが悪いなんて話も聞くが、これは残量表示の考え方が普通のケータイと異なるからだろう。バッテリが「残り2つ」の表示は「もうすぐ切れるよ」のサイン、みたいに認識してるとずいぶん早く減っていくように感じるが、iPhoneのバッテリ残量表示はiPodやポータブルのMacと同じく残り容量をほぼ忠実に表したものである。
同じようなことは電波レベルの表示についても言えそうだ。このあたりは、変な慣習に縛られないApple製品らしいところ。

時々感じるのが、こいつは「キャリアの都合」なんてこれっぽっちも考えていない、ということだ。あくまでユーザの利便性を最優先に振る舞うよう設計されている。
たとえば街を歩いていても常にWi-Fiスポットを探していて、見つけたら知らせてくれる。Wi-Fiが使用可能な場所ではデータ通信には常にそちらが優先して使用される。Wi-Fiのほうが高速かつ安定した通信が行えるので当たり前っちゃあ当たり前だが、ケータイでこれができるのがかなり新鮮なのだ。

どういう思惑があるのかはしらないが、日本のキャリアはWi-Fiに消極的。
ドコモは「ホームU」というサービスを先日発表した。どこからどうみてもWi-Fiローミングなのだが、一切「無線LAN」や「Wi-Fi」という言葉を使わずに紹介し、月額使用料まで設定されているばかりかパケット定額オプションへの加入も必須としている理不尽な仕様だ。

ご存じの通り、現在の日本のケータイというのはキャリアによってガチガチに囲い込まれている。ことインターネット接続に関しては数多の独自仕様を盛り込みすぎていて、インターネット網の上でありながら周囲と隔絶された、完全に「鎖国」状態にある。
「ケータイサイト」なんてものが確立しているが、これはWebの技術を流用しているだけであって、決してWebそのものではない。フルブラウザと称する通常のWeb閲覧が可能な機能を搭載していても、使用感などとても実用に耐えるものではなく、一部キャリアではパケット定額に加入していても定額の対象外という謎の料金体系が設定されていたりして、「使わせたくない」というホンネが見え隠れしている。

Webを含むインターネットというのは本来オープンなモノであるべきであり、場所、時間、環境を選ばず「同じ情報にアクセスできる」というのが理想。ブラウザやコンテンツは可能な限り標準化団体によって策定された仕様に従うべきであり、それは携帯端末とて例外ではない。
それがキャリアによって囲い込まれ、カネ儲けの道具に成り下がってしまっている状況は正直どうかと思うのである。

以前も書いたが、キャリアというのはあくまで通信サービスを売り物にするべきであって、複雑な独自仕様を盛り込んだ端末や、それに付随した多くの人にとっては使いもしないようなサービスの開発に注力するぐらいなら、その分のリソースを「シンプルかつ安価な料金体系」と「安定した通信環境」を提供するために回して欲しい。「端末を作る」のはキャリアがやるべきではないのだ。

メーカー側にとっても、キャリアに縛られずに自由なモノ作りができれば、iPhoneに肉薄するような魅力的な端末を作れるのではないだろうか。
タッチスクリーンだとかiPod内蔵だとか表面的なことばかりに注目されているiPhoneだが、日本においては「メーカー主導で作られた端末」ということが重要。他のメーカーもこれに触発されて頑張って欲しいところ。

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