IE7。

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マイクロソフトからIE7-β2が配布されていたので試してみました。ちなみに公開されたのは2月1日、その前日にMac版IE5が配布中止になっているのは何かの偶然でしょうか。
VirtualPC上のWin2000にインストールしようとしたらXP-SP2のみ対応とのこと。仕方なく居間にあった父親の(たぶん職場の)なんだかよくわからないノートマシンにこっそりインストールしていろいろ実験。アンインストールの方法が解らなくてそのまま放置してあるのはナイショです。

目玉としてはとにかくセキュリティおよびプライバシー保護機能を前面に押し出していますね。ActiveXだかなんだか知りませんが、要はJavascriptを独自に拡張して脆弱にしていて、それを標準では無効化することで「セキュリティ性の向上」…うーん、いかにもマイクロソフトっぽい。他にもフィッシングフィルタとかいろいろ付いてます。そして画面右下のエリアで現在のセキュリティの状態を赤・黄・青みたいな3色で表してるっぽいんですが、どーにもこれが落ち着かない。ふつーにブラウズしてるだけなのに「アナタはいま危険にさらされてますよ!」って大声で言われてるみたいで。

他に新機能として謳われているRSSフィードサポートは現状ほとんど使いのものにならないっぽいです。試しにありとあらゆるフィードを読ませてみましたが見事に全滅。ひとつも読み込めませんでした。なにがいけないんでしょう。また変な独自仕様とかじゃなければいいんですが。
いっぽうPNGのアルファチャンネルマスクはしっかりサポートされてました。まあ他のブラウザはとっくの昔にサポートしていたわけで何の物珍しさもありませんが、ようやくエレガントな透過表現がWebの世界でも実現できる日が見えてきましたね。
CSS周りのバグも目についた限りはかなり解消されているようです。width解釈バグ(もっともこれはマイクロソフト曰く「仕様」らしいですが…)とか、border-style:dottedの表現があまりにも他のブラウザとかけ離れていたりとかっていう有名なものから、細かな描画不良を起こすようなものまで多岐に渡って修正され、かなり「標準」に近いレンダリング結果になっていました。多くのWebデザイナー達を悩ますにとどまらず「CSSは使えん!」というレッテルまで張らせ、長らくWeb標準技術の普及を阻んできたIEでしたが、IE7がしっかり普及すればそんな無駄な苦悩も無くなるかもしれません。
あと、文字にアンチエイリアス処理がかかるようになっています。現状だと半角英数のみで日本語は相変わらずギザギザですが、正式版ではきっと全ての文字に対応するはず。ただ…あんまり美しくないんです。フォントがダサいってのもありますが、字詰めとかがデタラメっぽくて、かえって可読性を落としてる感じ。これはもうブラウザというよりOSの問題ですね。
フォントサイズをpxとかで指定してあると文字サイズの変更が効かないのは従来どおりですが、Webページ全体の表示倍率を変更できる新機能という画期的なアプローチで解決しています。これは素直に見事だと思いました。

ルック&フィールはだいぶ変わったというか…はっきりいって使いにくくなってるような?Win上での使いやすさの基準がイマイチわかんないのでなんともいえませんが。メニューバーが標準ではOFFになってて、代わりに隅の方に並んでるちっこいボタンでメニュー項目を実行することになってるようですが、どれがどの機能なのかパッと見わかんないのですごく戸惑います。
ブラウザの顔ともいうべき主要な要素、「戻る」「進む」ボタンはいいんですが、「中止」と「再読込」がアドレスフィールドと検索フィールドに挟まれるようなカタチになっており、かなり入り組んだ印象。タブ周りのデザインも無駄が多いというか…洗練されてませんね。カスタマイズも融通が効かない感じ。
こういうの目の当たりにするとマイクロソフトはほんとにインターフェース設計が苦手なんだなぁとつくづく思うわけです。ちょっと考えればこれは使いにくいって解かるはずなんだけどなぁ。

Beta版とはいえ数年間の沈黙を破って登場したわりにはちょっとお粗末なんじゃないかと思いましたが…まぁマイクロソフトのことだし、こんなもんかな。一日も早い正式版の公開を願っています。完成の暁には現在蔓延っているIE6の駆除も責任を持ってやっていただきたい。

事実上の標準ブラウザとして君臨しているIEですが、Firefoxを初めとするモダンなブラウザが徐々にシェアを伸ばしてきました。最も普及しているOSのプリインストールブラウザであるという強みの上にあぐらかいて好き勝手やってたようですが、そうも言ってられなくなったって状況でしょうか。純粋にブラウザの性能や使い易さで考えたら"IE離れ"が進むのも当然と言えます。IE7はそれに歯止めを掛ける意味でのリリースだと思いますが、マイクロソフトの思惑通り事が進む保証はどこにもありません。最終的にブラウザを選ぶのはユーザーですからね。

ちなみにIE7b2はユーザーエージェントとしてこんな値を返します。
Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.0.3705; .NET CLR 1.1.4322)
これだけ見ると正式版なのかBeta版なのか区別つきませんねー。

全くの余談ですが、Intel Mac上のSafariはこんな値を返すっぽいです。
Mozilla/5.0 (Macintosh; U; Intel Mac OS X; ja-jp) AppleWebKit/417.9 (KHTML, like Gecko) Safari/417.8
ブラウザ振り分けスクリプトとか書いてる人の参考にでもなれば。

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